マルセル・モース『贈与論』を読む

自由読書会では9月30日からマルセル・モース『贈与論』[新装版] 勁草書房を読みます。

自由主義経済の限界が語られる中、コロナ禍による不況が心配されています。給付金でしのいでいる企業/個人も多いと聞きます。政府による給付金をポトラッチとして捉えることで、今後の経済の可能性を見出すことができるのではないでしょうか。また、芸術に内包されている贈与の痕跡を見出すことで、社会と芸術の関係を捉えなおすことができるかもしれません。


原始社会の贈与慣行の考察から、宗教・法・道徳・経済の諸領域に還元できない「全体的社会的事実」を析出。レヴィ=ストロースやバタイユをはじめ多くの思想家に影響を与えたモースの代表作(帯文)


予定はスケジュールをご確認ください。
第1第3(第5)水曜日 20:00~21:30
場所:素人の乱12号店|自由芸術大学
杉並区高円寺北3-8-12 フデノビル2F 奥の部屋

資料の準備がありますので、参加される方は下のフォームよりお申し込みください。


目 次

目次
序論
贈与、とくに贈物の返礼をなすべき義務
題辞
綱目
給付と分配の特殊形態としての全体的給付現象――受贈者に返礼を義務づける法的、経済的規則と力――考古学的結論――現代社会の道徳上の結論
適用した方法
給付、贈与およびポトラッチ
未開社会には自然経済は存在しない――全体的給付組織の意義と性質――ポトラッチは競覇型全体的給付の性格を有する――受贈者に返礼を強制する精神的メカニズムの研究の重要性

第一章 義務的贈答制と返礼の義務(ポリネシア)

Ⅰ 全体的給付 父方の財産と母方の財産(サモア島)
ポリネシアにはポトラッチが存在する――サモア島の贈与組織の要素と範囲――トンガのもつ機能――オロアとトンガの意義

Ⅱ 贈られた物の霊(マオリ族)
マナの媒介物としてのタオンガ――ヘルツの記した返礼の義務の慣行――ハウに関するタマティ・ラナイビリの報告――この報告の解釈はハウの攫取力を示す――贈物の義務的循環を支配する原動力――物の移転から生ずる法的紐帯と全体的給付の性質

Ⅲ 提供の義務と受容の義務
三つの義務は全体的給付制度の基本的要素である――受容の義務――提供の義務――提供・需要と消費・返礼の権利義務は霊的な紐帯で統合される

Ⅳ 人に対する贈与と紙に対する贈与
本節に対する反省――同種の社会のポトラッチの自然に対する効果――人と神との交換では、人は神を代理する――お返しを義務づける贈与としての供犠の破壊――トラジア族での神から買得する観念の定著――トロブリアンド島の精霊に対するヴァイグアの奉納の儀式――人、神への贈与は平和購入の目的をもつ――供犠と契約との関連

Ⅴ 覚え書 喜捨
ハウサ族の貧者、子供にたいする贈与の慣行――喜捨は贈与・財産に関する道徳観念と供犠の観念との産物である――本章の資料の比較検討の必要性――ポリネシアにもポトラッチの基本的要素が存在する

第二章 この組織の発展 気前のよさ・名誉・貨幣
本章はポトラッチの性質と分布の検証である

Ⅰ 惜しみなく与える規則(アンダマン諸島)
ピグミー族、アンダマン島民の贈物交換の慣習――交換には双方の人格、感情、物が混淆する

Ⅱ 贈物の交換の原則、契機および強度(メラネシア)
明確な性質をもつメラネシアのポトラッチ
(一)ニューカレドニア
饗宴のやまいもの儀式的給付の慣習
(二)トロブリアンド諸島
マリノウスキーのトロブリアンド島民のクラ交易の記述――巨大なポトラッチとしてのクラの意義と範囲――クラ交易の貴族的性格――クラの諸関係はクラの本質を変えない――クラの儀式的形態――ムワリとス―ラヴァという二種のヴァイグア――ヴァイグアの循環運動の経路――複合現象としてのクラ交易――ヴァイグアの神話的、宗教的呪術的性格――ヴァイグアの性格の契約にたいする反映――受贈者にヨチレを義務づけるヴァガ――義務的贈答制の典型としてのクラ交易――全社会生活を包摂する義務的贈答組織の一時機としてのクラ交易――一連の交換体系の中に編込まれたヴァイグアの交換――餞別――コロツムナの贈与――内輪のクラ(クラ共同体)――遠征参加者全員にたいする均等な分配――全社会生活への義務的贈答組織の滲透――ワシとサガリ――すべての個別的交換関係も義務的贈答制に包摂される
(三)他のメラネシア社会
フィジィ諸島のケレ・ケレとタムブア――ニューギニアのメラネシア人とパプア族の貨幣――ブインの部族とバナロ族に関するトゥルンヴァルドの分析――メラネシア全域に義務的贈答組織が存在する。

Ⅲ 名誉と信用(北西部アメリカ)
ポトラッチの完成形態を示す北西部アメリカ・インディアン社会――北西部アメリカの諸部族の社会状態――北西部アメリカのポトラッチは義務的贈答制にほかならない――ポトラッチの二つの特徴としての信用と名誉の観念――期限付きの返礼の義務は贈物の性質から派生する――物々交換、現実売買、信用取引という経済発展の話は正しくない――ポトラッチに現れる名誉の観念の機能――名誉の観念の始源性――全体的現象としてのポトラッチ――北西部アメリカのポトラッチの四形態

Ⅳ 提供・受容・返礼の三つの義務
ポトラッチの本質としての贈る義務――招く義務の機能――強制的な買う義務――強制的なお返しの義務――全体的給付組織の不自然な産物としてのポトラッチ

Ⅴ 交換の対象物にひそむ力
贈物に潜む循環を強制する力――クゥーキウーツル族、チムシアン族の家宝の性質――ハイダ族の神格化された財産の概念――財物は生命をもつ――財物は生産力を有する

Ⅵ 名誉の貨幣
固有の価値をもち、信仰、崇拝の対象となる銅板――銅板の有する吸引力――護符・仮面と同一の機能をもつ銅板

Ⅶ 最初の結論
義務的贈答制は個別的契約の段階に達しない社会の特徴である

第三章 古代の法および経済におけるこの原則の痕跡
民族詩学的事実の分析の効用――人と物との区別は比較的新しい段階に出現した

Ⅰ 人と法と物の法(原古ローマ法)
ネクスムは物から派生し、人は物によって拘束される紐帯物の有する意義を示す交換方式――物の中に存在する紐帯――個性と力を帯有する物の態様――窃盗と要物契約に発現する物の力の観念――物は契約の本質的要素をなす――契約の形式と用語は引渡によって生ずる精神的紐帯と結合する――(イ)レウスの語源――(ロ)マンキパーチオーの方式と売買の語源

Ⅱ 他のインド・ヨーロッパ系諸法
贈与組織はローマ、ギリシャ民族の有史時代にには存しない――ゲルマン法、ヒンズー法が本研究に占める地位

Ⅲ 古典ヒンズー法 贈与の理論
ヒンズーの贈与の規範の適用はブラーフマナにかぎられる――インドのポトラッチの二つの起源――贈物は、現生、来生いずれでも報いを齎す――人格化される一切の贈物――人と財との同一視の現象――牡牛に現れた贈物と贈与者との緊密な結合関係――贈物の買い方は他の社会のそれと同じである――贈物を媒介とする贈与者と受贈者との間の強靭な紐帯――一切の贈与は慎重な態度で臨まれる

Ⅳ ゲルマン法 担保と贈与
ゲルマン社会には典型的な贈答組織が存在する――ガーベンの慣行――担保を随伴する一切の契約の機能――ワディアチオ契約の意義――贈物のもつ危険を示す法や格言

Ⅴ ケルト法
ケルト民族にも義務的贈答制が存在する

Ⅵ 中国法
売却された物にたいする売主の追求権――安南人の慣行

第四章 結論

Ⅰ 道徳上の結論
現代の社会生活における義務的贈答制の機能――過去の道徳への復帰を示唆する近時の法――著作権法による追及権の容認――社会立法に現れた古代道徳の復活の現象――これらの現象から導き出される道徳律――この道徳律の実践は法の基礎に帰着する

Ⅱ 政治学上および経済学上の結論
義務的贈答組織は一般的な経済的事実の分析に寄与する――義務的贈答組織の経済的特徴――無償と有償の給付観念の混成としての義務的贈答組織内の経済観念――貨幣の持つ機能――破壊のための破壊の動機――ムシワラの儀式の目的――未開人の利益追求の様態――利益の概念――個人的な目的の追求は、全体と個人に有害である――労働には相応の報償を必要とする

Ⅲ 社会学上および倫理学上の結論
本研究は素材の提供にすぎない――いわゆる全体的社会事実としての社会現象――全体的社会事実の研究の長所――社会学者の用うべき研究方法――社会の発展は義務的贈答制の尊守に対応する

訳注
解説
あとがき
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